韓屋文化ビエンナーレ開催のためのシンポジウム記念辞
光州市立美術館名誉館長 河正雄
霊岩郡が主催する『大韓民国韓屋文化ビエンナーレ開催のための都市ブランド戦略研究シンポジウム』がソウル市工芸博物館ホールで2024年4月4日に開催された。
私は招待されて記念辞を述べた。
本日は霊岩でのヘリテージビエンナーレ開催を準備するシンポジウムに招請下さり嬉しく思います。
事業紹介と挨拶された禹承熙霊岩郡守の言葉、そして研究発表された先生方の論説には希望と展望があり、胸が熱くなりました。
1995年、『境界を越えて』というテーマで始まった第1回光州ビエンナーレ。1997年第2回光州ビエンナーレはテーマを『地球の余白』として実績を積み重ねました。
2000年第3回光州ビエンナーレのテーマは『人+間=MAN+SPACE』として開催され、光州市立美術館に於いては展示企画委員として『在日の人権展』を企画し、ビエンナーレ展示に参画しました。
私はこの3回の開催で広報大使として広報の務めを果たしたことは、美術人生の大事なメモリーであり、その様な実績を忘れずに認められての招請であると誇りに思っております。
私は1939年に日本の東大阪で生まれた在日2世です。
1974年、父母が46年ぶりに霊岩へ帰郷する際、引率し共に訪問したのが本日まで続く長い御縁の始まりです。
1985年に竣工した王仁博士遺跡址の復元に関わったことで霊岩郡との御縁が深まり、金逸太郡守の時代2006年から美術品の寄贈が始まり、2023年まで3次に渡り4572点を寄贈致しました。
その間、田東平群守、そして禹承熙郡守との御縁を深め、2012年には霊岩郡立河正雄美術館、2022年には分館として創作教育館が開館しました。
2021年には韓国文化体育観光部から優秀美術館の認証を得ました。美術作品を寄贈するにあたり、3人の群守には私の霊岩への想いとヴィジョンを絵に書いて語りました。
霊岩は悠久にして風光明媚な国立公園月出山に抱かれ、4世紀の日本に先進文化を伝えた王仁博士など歴史的人物を輩出した歴史遺産、遺跡の宝庫であります。
これら霊岩の宝をまるごと活かした文化芸術の里、韓屋を活かした村づくりによるいにしえの韓国へのノスタルジーを喚起する望郷の里として世界人の故郷として広める価値があると述べました。
3人の群守は共感、共有した価値認識を受け継がれて、今に至る成果を得るに至ったのです。
この度、霊岩郡が主催するシンポジウムに志ある人達が新しい時代を切り拓く新しいステージに入ったことを喜びます。『昔植えた苗木大きく育つ。今植える苗木将来の大木。』の想いであります。
シンポジウム第1部に於いて『ヘレテージと芸術を通した都市事例の分析』、第2部は『ヘレテージビエンナーレの可能性と都市ブランド』について研究者7名の高説を賜れたことは霊岩にとって光栄であり、未来への大きな希望であります。
私が本日、皆様にお目にかかって、霊岩郡広報大使として記念辞とエールを伝える機会を下さったことに深く感謝し、春に美しい花が咲き誇る霊岩と皆様方に幸あれと祈念します。
上台浦公園の角館枝垂桜
撮影:朴哲 2022年4月12日
鳩林文化芸術の道
霊岩郡立河正雄美術館は芸術村のセンター
経緯
1985年8月16日 | 韓国全南霊岩王仁博士遺跡址復元・起工 |
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1986年4月25日 | 王仁博士遺跡址復元竣工記念碑建立起工 |
2006年12月21日 | 美術品178点寄贈 |
2007年1月10日 | 美術品96点寄贈 |
2007年1月15日 | 美術品77点寄贈 |
2007年1月20日 | 美術品19点寄贈 |
2007年3月2日 | 美術品329点寄贈 |
2007年3月31日 | 霊岩陶器文化センター・河正雄記念室開館 |
2007年3月31日 | 第1次寄贈協約書締結 |
2007年4月3日 | 美術資料400余冊寄贈 |
2007年7月25日 | 美術品33点寄贈 |
2007年10月5日 | 美術品4点寄贈 |
2007年11月21日 | 美術品2点寄贈 |
2007年12月25日 | 美術品1点寄贈 |
2008年6月30日 | 美術品727点寄贈 |
2008年11月 | 東江河正雄Collection図録発刊 |
2008年11月3日 | 霊岩郡立河正雄美術館土地購入 5000万ウォン 霊岩郡立河正雄美術館土地購入 4500万ウォン |
2010年4月28日 | 霊岩郡立河正雄美術館設計変更料 400坪 8000万ウォン |
2010年4月28日 | 霊岩郡立河正雄創作館土地購入 8800万ウォン |
2011年10月28日 | 芸術村創作館土地購入 200坪 5097万2500ウォン 崔氏記念館前土地購入支援 1600万ウォン 芸術村創作館土地上植木代支援 500万ウォン |
2012年3月30日 | 東江河正雄Collection01と02図録発刊 |
2012年9月3日 | 霊岩郡立河正雄美術館開館式 |
2013年3月 | 東江河正雄Collection03図録発刊 |
2013年4月5日 | 霊岩郡河正雄路指定式典 |
2015年9月 | 東江河正雄Collection04図録発刊 |
2015年10月30日 | 第4次河正雄コレクション寄贈式 総計3690点 |
2019年10月29日 | 第2次河正雄コレクション寄贈式・寄贈協約書締結(第4次までのものをまとめて締結)総計3801件 美術図書2136冊 |
2021年3月 | 韓国文化体育観光部から霊岩郡立河正雄美術館が優秀認証を受ける |
2022年6月28日 | 霊岩郡立河正雄美術館分館創作教育館開館 |
2023年3月30日 | 第3次美術品他771件寄贈協約式(禹承煕郡守と協約) |
霊岩郡立河正雄美術館(2012年9月3日開館)
資料集・カタログ
霊岩郡立河正雄美術館 創作教育館
(2022年6月28日開館)
霊岩陶器文化センター・河正雄記念室
(2007年3月31日開館)
河正雄陶器コレクション
河さんが名誉館長をつとめる韓国光州美術館にも約1000点を寄贈する予定だ。
同美術館は現在リニューアル中だが、すでに約300点の作品は寄贈を 終えているという。
河さんはこれまでにも、在日韓国人作家の絵画を中心に2000点を同館に贈った。
望郷美術館起工(2010年)
※後に正式名を「霊岩郡立河正雄美術館」となる
霊岩郡立河正雄美術館オープン(2012年)
朴哲写真集「河正雄の故郷」発刊(2012年)
李讃康先生のコレクション展
北朝鮮・中国の実景山水画展開催(2014年)
金 登美「花ひとすじに」展開催(2014年)
文化体育観光部霊岩郡立河正雄美術館優秀認証受ける
(2021年)
河正雄の故郷・霊岩を訪ねる秋の旅
霊岩の写真家・朴哲作品集
青木繁「刻画・海の幸」ブロンズレリーフ寄贈・NPO法人安房文化遺産フォーラム支援
経緯2015年9月5日館山NPO法人安房文化遺産フォーラム主催「韓国と日本・二つの祖国を生きる」講演2015年10月29日青木繁「刻画・海の幸」ブロンズレリーフ寄贈除幕式…
続きを読む光州市立美術館・分館 河正雄美術館
1993年に6作家の212点のコレクション寄贈から始まる。
続きを読む「田沢湖祈りの美術館」
李方子妃揮毫・田沢湖祈りの美術館人間国宝・呉鎮篆刻作品李方子妃書・1985年楽善斎自宅にて・1985年経緯1980年田沢湖畔白浜に美術館建立用地3000…
続きを読む角館枝垂桜植樹
経緯2009年12月12日、角館枝垂桜を父母の故郷である全羅南道霊岩郡の王仁博士廟と王仁公園に20本植樹する。角館町教育委員会の後援を受ける。2011年9月3日「霊岩郡立…
続きを読む河正雄コレクション展開催記録
姜喆洙画伯追慕「未完の夢」展/開館5周年記念特別展「収集・記憶」展/2020霊岩郡立河正雄美術館特別展「収集を話そう」/霊岩郡立河正雄美術館常設展「眠目そして共感」展
続きを読む故郷は遠きにありて想うもの
故郷は遠きにありて想うもの光州市立美術館名誉館長 河正雄―父の肖像―潮のように引いては打ち寄せる、そして泉のように湧き出ずる母校の思い出。ほろ苦く、切なく...
続きを読む河正雄コレクション展開催記録
姜喆洙画伯追慕「未完の夢」展/開館5周年記念特別展「収集・記憶」展/2020霊岩郡立河正雄美術館特別展「収集を話そう」/霊岩郡立河正雄美術館常設展「眠目そして共感」展
続きを読む祝・霊岩郡立河正雄美術館創作教育館開館
姜喆洙画伯追慕「未完の夢」展/開館5周年記念特別展「収集・記憶」展/2020霊岩郡立河正雄美術館特別展「収集を話そう」/霊岩郡立河正雄美術館常設展「眠目そして共感」展
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