田沢湖畔の姫観音像由来板
1985年掲示

撮影者・佐川俊也(2019年11月)
姫観音
撮影日:2021年10月28日

経緯

1981年 槎湖仏教会と田沢湖町の連名で姫観音建立主旨掲示板が建つ。
1985年4月20日 田沢湖観光協会の呼び掛けで田沢後姫観音供養祭が初めて執行され、参席する。1981年に田沢湖町によって建てられた姫観音像建立由来の案内板の文面に疑問を持った。そこから真相究明の調査が始まる。
1990年9月23日 第1回朝鮮人無縁仏追悼慰霊祭田沢寺にて慰霊碑建立
仏画全和凰作2点寄贈「百済観音」「弥勒菩薩」
田沢寺奉安室にある朝鮮人無縁仏位牌の施主となり供養を始める
1991年6月12日 姫観音像建立趣旨書・田沢寺にて発見
1991年8月13日 朝日新聞1991年8月13日全国版に報道された。
1991年9月22日 第2回姫観音並びに朝鮮人無縁仏追悼供養会・田沢湖畔及び田沢寺(高橋福治氏から姫観音供養を依頼される)
1994年5月18日 夏瀬ダム工事での生き証人・李用鎮氏の証言を得る
1993年8月11日 第3回姫観音並びに朝鮮人無縁仏追悼供養会・田沢湖畔及び田沢寺
1994年11月1日 秋田県教育員組合発行「平和教育読み物資料集」に「姫観音」収録される
1994年11月3日 第4回姫観音並びに朝鮮人無縁仏追悼供養会・田沢湖畔及び田沢寺
1995年10月22日 第5回姫観音並びに朝鮮人無縁仏追悼供養会・田沢湖畔及び田沢寺
1996年11月3日 第6回追悼慰霊祭・田沢寺姫観音供養会・田沢湖畔
1997年10月23日 第7回追悼慰霊祭・田沢寺姫観音供養会・田沢湖畔
1998年7月1日 「縁一朝鮮人無縁仏に捧げる」を出版
1998年11月18日 第8回朝鮮人無縁仏慰霊祭田沢寺と姫観音前
1999年3月2日~3月5日 韓国霊巌郡霊巌邑三湖里自宅にて先達発電所強制連行者
曺四鉱氏と55年ぶりに再会・秋田朝日テレビ伊藤玲子DRと
秋田県朝鮮人強制連行真相調査団事務局長野添憲治と共に
1999年3月29日 曺四鉉氏宅再訪問取材
1999年6月23日 NHKラジオ深夜便「もう一つの強制連行」放送午前1時15分一2時
1999年11月11日

10周年記念第9回田沢寺朝鮮人無縁仏慰霊祭よい心の碑建立

  • 朴炳熙「平和の鳩」ブロンズレリーフ2点寄贈
  • 墓地整理・全和凰作「太陽と花」寄贈
2000年11月11日

秋田県田沢寺及び田沢湖畔姫観音法要

  • 曹渓寺恵信師を始めとする韓国僧侶150名
2001年6月19日 秋田県田沢湖畔姫観音及び田沢寺朝鮮人無縁仏法要韓国仏教会120名
2002年2月 田沢寺にて韓国仏教会法要100名
2004年10月2日 第10回田沢寺朝鮮人無縁仏追悼15周年記念慰霊式
2015年10月12日

戦後70周年日韓国交正常化50周年記念第11回追悼慰霊祭

  • 田沢寺姫観音供養会・田沢湖畔
    田沢寺に四明張孝友作仏画2点を寄贈する。
2019年5月23日 田沢寺本堂に「仏光普照」の掲額修復納品
2019年11月10日 第12回田沢寺朝鮮人無縁仏追悼慰霊祭姫観音開眼80周年記念(主催・田沢湖姫観音像開眼80周年実行委員会)
2020年11月10日 第13回田沢寺朝鮮人無縁仏追悼慰霊及び姫観音法要・清掃奉仕(仙北市民有志)
2021年10月28日 故郷の碑・平和の群像建立(田沢湖畔・御座石にて)

記念誌

韓国全羅南道霊岩郡三湖面の曺四鉉氏宅を訪ねて
1999年3月2日~5日

【徴用工の証言】秋田朝日テレビ 「田沢寺第9回朝鮮人無縁仏供養・曺四鉉氏を訪ねて」
秋田朝日テレビ1999年3月2日~3月5日に収録
曺四鉉氏韓国で初めての生存者発見 光州日報の記事

曺四鉉氏と面談
1999年3月2日~5日

資料映画:国営開墾地

国営開墾地

十字屋文化映画部作品 (1939年製作と思われる)※茶谷十六先生提供
農林省田沢疎水国営開墾事務所所長 安部義正
指導 製作:田中喜次
脚本:岡秀雄
演出撮影:小林米作

姫観音碑文

姫観音像建立趣意書発見・1991年6月11日

朝鮮人徴用工リスト

新聞記事

1990年の記事

1991年の記事

1993年~1995年 の記事

宿舎跡調査(1999年)

2000年~2015年 の記事

慰霊祭

姫観音慰霊祭(1991.9.22)
姫観音慰霊祭(1993.8.11)
朝鮮人無縁仏の霊に捧げる「よい心の碑」建立記念追悼慰霊祭(1999.11.11)
田沢寺での朝鮮人無縁仏追悼慰霊祭(1990.9.23)

姫観音像建立80周年記念法要
(2019年11月10日)

다자와코 희메관음상 「田沢湖姫観音像」開眼80周年記念法要並びに直会の御案内

「田沢湖姫観音像」開眼80周年記念法要直会の挨拶

田沢湖よい心の会会員 河正雄

 関係ない話とは存じますが挨拶の前に話をさせて下さい。昨日(2019年11月9日)の事です。
 釜山のドキュメント監督辛ナリさんが昨年から密着で私の映像を撮影しており、2014年4月に私の墓所と定めた真言宗豊山派青龍山西光院(川口市戸塚2-6-29)に伺いました。
 途中の壇信徒会館密厳閣前広場で落ち葉払いの掃除をしている愛くるしい瞳の少年(小学2年生)と少女(小学6年生)のトルコ人姉弟に出会いました。
 密厳閣前にはブロンズの竹箒を持った掃除をしている地蔵仏が鎮座している。姉弟は、その地蔵仏に倣って落ち葉掃除をしているのだと言うので私は感心してしまいました。
 その事を韓国語で辛ナリ監督に通訳して伝えたところ、少女が「韓国語ですね。私、韓国と韓国人が大好き!」と言った。最近、韓日間で嫌日、嫌韓の国民感情を苦々しく思い、沈んでいたので私の心に陽射しのような温かさが宿りました。
 少女が「おじさん、何しに来たの?」と問うて来たので「墓参りに来たんだよ。」と答えたら「私達におじさんのお墓の掃除をさせて下さい。」と言うではないですか。そして水桶と柄杓とタワシ、雑巾の道具を揃えて墓を洗ってくれました。この少年、少女の心根の美しさに私は心を激しく揺さぶられてしまいました。
 本日(2019年11月10日)田沢湖に参り、姫観音前の広場や田沢寺の慰霊碑広場の草刈り、掃除を役員の皆さんが総出でされ、姫観音の汚れを取る作業を佐川俊也さんがされたことの報告を受けました。
 佐川さんは姫観音の汚れを落とした後、満足がいかなかず気になって夜寝られなかったといいます。そこで今朝早く起きて再度水洗いをしたという話を聞かされ、有難さに深く頭を下げました。
 私は小学4年生の時から無縁の仏様を供養して参りましたが、心ある人達がこうして守って下さっている事を知り、これまで供養して来た祈りが通じているのだと思うと安心して眠る事が出来るのだという心境になっております。
 姫観音供養祭の始まりは1985年4月20日、田沢湖町と森沢健亮東源寺住職、菅原宗美田沢寺住職、三浦幸三世話人、高橋福治幹事様の呼び掛けで始まりました。
 観光客の安全と姫観音の供養という主旨でありました。その時に槎湖仏教会と田沢湖町の連名で建てられたのが姫観音前の案内掲示板であります。
 私はその内容の記述に疑問を抱き、姫観音建立の調査を始めました。その過程で建立趣意書が田沢寺にあったこと、そして朝鮮人無縁仏が田沢寺に埋葬されていたことが判りました。
 この事実から1990年9月23日、田沢寺に朝鮮人無縁仏慰霊碑を建立して追悼慰霊祭が執り行われました。
 この時に「田沢湖よい心の会」が結成され、会の事業として法要を続けて参りました。そして1999年には10周年を記念して「よい心の碑」を建立し、これまでに11回の慰霊祭が執り行われて参りました。
 私の生年月日は1939年11月3日です。今年で満80歳を迎えました。そして姫観音の建立は1939年11月10日です。80年を共に生まれ共に生きて来た思いで仏縁を感じずにはいられません。
 本日は「田沢湖姫観音像」開眼80周年記念法要実行委員会主催で田沢湖姫観音像前で、そして田沢寺朝鮮人無縁仏慰霊碑、よい心の碑前で意義のある慰霊法要が執り行われましたことを心より喜んでおります。
 ここに至るまで仙北市や市民の皆さん、槎湖仏教会、在日韓国民団や在日朝鮮総連の皆様方、報道関係者や全国の心ある人々のお祈りのおかげと感謝しております。
我々は何故祈るのか、何故慰霊するのか。我々が生きて来た20世紀は不幸な戦争の時代でありました。日本の日韓併合時代・日中戦争、太平洋戦争・解放後の朝鮮戦争による祖国の分断、未だ統一が出来ず戦争状態にある苦渋と苦痛に満ちた戦争の世紀であったと言えます。
在日は人間らしく生きるために、人権を勝ち取る為に先頭に立って来た誇るべき民であります。20世紀の不幸な歴史の中で、祖国と痛みを分け合った在日同胞犠牲者達を永遠に慰霊追悼する事は、韓民族のヒューマニズムの根幹が豊かで、澄んだ鏡である実証(しるし)であります。
関東大震災での朝鮮人犠牲者や第2次世界大戦の犠牲者らの御霊を忘れない事、思い出してあげる事、そして感謝の心を持って祈る事が、何よりの供養であります。それは同時に在日同胞が歩んだ苦難の歴史が風化しないように、歴史の真実が埋没しないように子々孫々まで語り継こうという願いが込められているのです。
「歴史は繰り返す」と申します。最近は韓日、朝日の関係やアメリカを始めとする世界的な混乱には、再び不幸なる気流が渦巻いている気配を感じます。
最近、祈る力が弱まっているように思えます。我々は20世紀の傷みと、過去の歴史に、じっと耳を澄ませ声を聞く事が出来る世代であります。
慌ただしい時代の流れの中で過去を忘れ今を生きることは容易いことです。後の世代に我々が正しい史実と想いを伝えなければ単なる歴史の一コマに過ぎなくなり、更には後の世代にそれを伝えることは不可能になるでしょう。
過去の傷みと教訓が示す事象に注意力を持って見続け、正しくその史実を伝える努力を怠ってはなりません。我々の世代が持つ傷みを後進と共有し、薄れて行く記憶や体験を語り伝えていく事が使命であります。
未来に希望を託せるように、過去への追悼と祈りを継承していく事が、ひいては若人を育てる大きな力となると思います。平和なくして幸福はありません。過去の不幸を繰り返す愚行はあってはなりません。
姫観音はその誓いの為に人々の善意を以て建立されたことに感謝し、よい心で善行を積んで来た人達から学び、共に平和への決意を共有したいと思います。
皆様の御健康と平安を心より祈念して御挨拶とさせていただきます。カムサハムニダ(感謝します)!

2019年11月10日直会にて・田沢湖レイクリゾート

サルプリ舞・金 順子(2019.11.10)
撮影・朴 哲(2019年11月10日)
撮影・朴 哲(2019年11月10日)

姫観音供養と清掃・仙北市民有志
(2020.11.10)

1939年頃の田沢湖畔風景 
伊藤孝祐氏(1895年-1975年)写真作品

秋田駒ケ岳噴火 (1970-1971年9月17日)

2013年8月豪雨による先達地区土石流災害

田沢湖・朴哲撮影

関連:故郷秋田の紹介(辰子飛翔の像と飲水の像)

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